派遣の有給はいつから?付与日数・申請方法と契約更新時の注意点

派遣のお金と福利厚生

派遣で働き始めると、「有給はいつ付く?」「3か月ごとの契約更新でも対象になる?」「派遣先を変えたら残りの日数はどうなる?」と気になりますよね。

派遣社員にも年次有給休暇があります。基本の条件は、同じ雇用主のもとで6か月継続勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤すること。付与や申請の窓口は、働いている職場である派遣先ではなく、雇用主である派遣会社です。

この記事では、付与日数と申請方法に加え、契約更新・派遣先変更・仕事の空白期間で確認したいことを整理します。筆者がテンプスタッフで有給を申請した経験は、現在の制度と分けて紹介します。

先に押さえたい3つのポイント

  • 短い契約の更新でも、雇用が実質的に続いていれば勤続期間を通算する。
  • 同じ派遣会社との雇用が続くなら、派遣先が変わるだけで有給がゼロになるわけではない。
  • 契約に空白がある場合は個別確認。「法律で1か月空いたら必ず消滅」と一律にはいえない。

出典:東京労働局「派遣社員として働いている方へ」Q5(確認:2026年10月20日)

派遣の有給はいつから?最初の付与は原則6か月後

法律上の基本は、雇入れから6か月の継続勤務と、全労働日の8割以上の出勤です。派遣会社に登録しただけの期間が、そのまま勤務期間になるわけではありません。実際の雇用開始日と、有給の起算日・初回付与日を確認しましょう。

たとえば、4月1日に雇用が始まり、条件を満たして6か月勤務した場合、原則10月1日が初回の付与日になります。会社が法律より早く付与する制度を設けている場合もあります。

「8割出勤」は、決まった日数ではなく出勤率で見る

全員が「半年で100日働けばよい」という意味ではありません。自分が働くことになっている日をもとに計算します。たとえば、計算対象の全労働日が120日なら、出勤日として数える日が96日以上で8割に達します。

有給を取った日、法定の産前産後休業・育児休業・介護休業、業務上のけがや病気による療養の休業期間などは、出勤率の計算で出勤したものとして扱われます。一方、会社都合の休業など、分母となる全労働日から除く日もあります。欠勤があった場合は、計算対象日数と出勤扱いの日を派遣会社に確認してください。

産休・育休の取得条件や給付については、派遣の産休・育休の記事で説明しています。

出典:厚生労働省「年次有給休暇の発生要件」(確認:2026年10月20日)

有給は何日付く?勤務時間・日数で確認する

有給の日数は「正社員か派遣か」だけで決まるものではありません。所定労働時間・所定労働日数と、継続勤務期間で判断します。以下は法定の最低日数です。

週30時間以上、または週5日以上勤務する場合

週の所定労働時間が30時間以上、または週の所定労働日数が5日以上の場合は、次の表が基本です。週以外の期間で所定労働日数が決まる場合、年間217日以上もこの区分に入ります。初回は直前6か月、その後は原則として直前1年の出勤率が8割以上であることが必要です。

通常の付与日数(各回に新しく付く日数)
継続勤務期間付与日数
6か月10日
1年6か月11日
2年6か月12日
3年6か月14日
4年6か月16日
5年6か月18日
6年6か月以上20日

20日に達するのは継続勤務6年6か月以上です。表は累計や現在の残日数ではなく、その回に新しく付く日数を表しています。

出典:厚生労働省「労働条件・職場環境に関するルール」(確認:2026年10月20日)

週30時間未満で、勤務日数が少ない場合

週30時間未満、かつ週の所定労働日数が4日以下の人は、日数に応じた「比例付与」が基本です。週以外の期間で日数が決まる場合は、年間所定労働日数216日以下が対象になります。

最初の6か月では、週4日なら7日、週3日なら5日、週2日なら3日、週1日なら1日が目安です。各勤務日数を開くと、その後の法定日数も確認できます。

週4日勤務(年間169~216日)の付与日数
継続勤務期間付与日数
6か月7日
1年6か月8日
2年6か月9日
3年6か月10日
4年6か月12日
5年6か月13日
6年6か月以上15日
週3日勤務(年間121~168日)の付与日数
継続勤務期間付与日数
6か月5日
1年6か月6日
2年6か月6日
3年6か月8日
4年6か月9日
5年6か月10日
6年6か月以上11日
週2日勤務(年間73~120日)の付与日数
継続勤務期間付与日数
6か月3日
1年6か月4日
2年6か月4日
3年6か月5日
4年6か月6日
5年6か月6日
6年6か月以上7日
週1日勤務(年間48~72日)の付与日数
継続勤務期間付与日数
6か月1日
1年6か月2日
2年6か月2日
3年6か月2日
4年6か月3日
5年6か月3日
6年6か月以上3日

週4日でも週32時間なら、比例付与ではなく通常の付与日数の区分です。扶養内という呼び方や月収だけで判断せず、雇用契約書の所定時間と日数を見てください。働き方を検討中の方は、扶養内で働く条件の整理も参考にしてください。

出典:滋賀労働局・年次有給休暇の付与日数資料(確認:2026年10月20日)

契約更新・派遣先変更で有給はどうなる?

同じ派遣会社で契約を更新する場合

2か月・3か月ごとの契約でも、実質的に雇用が続いていれば勤続期間を通算します。更新のたびに「初日から6か月を数え直す」という扱いにはなりません。期限内の残日数も、契約を更新しただけで消えるものではありません。

派遣先だけが変わり、雇用が続く場合

有給は派遣先ごとに付く制度ではありません。同じ派遣会社との雇用が続くなら、勤務先がA社からB社に変わっても、そのことだけで勤続期間や有給の残日数がリセットされるわけではありません。

ただし、新しい職場では勤務曜日・時間、勤怠の記録方法が変わることがあります。次の付与日、利用できる日、申請の連絡先を確認しておくとスムーズです。

次の仕事まで空白がある場合

「派遣先での仕事が終わる日」と「派遣会社との雇用が終わる日」を分けて確認してください。派遣先での就業が終わっても雇用契約が続く場合と、いったん退職して再び雇われる場合では、確認すべき点が異なります。

継続勤務は、契約書の形式だけでなく、実質的に労働関係が続いているかで判断されます。「空白が1か月未満なら必ず引き継ぐ」「1か月以上なら法律上一律にゼロ」とは断定できません。

派遣会社の案内には独自の資格継続ルールもあります。たとえばテンプスタッフでは、契約のない期間について、毎月1~15日・16~末日をそれぞれ一期とする「連続二期」の説明があります。暦の1か月と同じ意味とは限らず、他社にもそのまま当てはめられません。自分の終了日・再開予定日を伝えて確認しましょう。

出典:大阪労働局「年次有給休暇」Q6(確認:2026年10月20日)

出典:テンプスタッフ「年次有給休暇制度」(確認:2026年10月20日)

契約の切り替わり前に確認すること

  1. 派遣会社との雇用は継続か、退職・再雇用になるのか。
  2. 有給の起算日、次の付与日、付与日別の残日数・失効日はどうなるか。
  3. 仕事の空白期間を、どの規則・どの日付で判断するのか。
  4. 契約終了前に有給を取れる所定労働日は何日あるか。

回答が分かりにくいときは、就業規則の該当箇所や計算方法を、メールなど記録が残る形で確認してください。

別の派遣会社へ移る場合

別法人の派遣会社へ転職し、雇用主が変わる場合、前の会社の有給が新しい会社へ自動的に移ることは原則ありません。前の会社の残日数は、退職前の取得を早めに相談しましょう。

会社の合併などで雇用が承継される場合は、一般的な転職とは扱いが異なることがあります。会社名が変わっただけで判断せず、雇用の承継と有給の扱いを確認してください。

有給の申請先は派遣会社。職場への連絡も忘れずに

法律上、年次有給休暇を付与するのは派遣会社です。職場の上司に休みを伝えただけで、派遣会社への有給申請や勤怠処理まで終わるとは限りません。

  1. 残日数・失効日を確認する。取得予定日に使える有給があるか確認します。
  2. 派遣会社所定の方法で申請する。申請期限、システム、当日の連絡先を確認しておきます。
  3. 派遣先に予定を伝え、引き継ぎを調整する。会社から案内された連絡の順序にも沿って進めます。
  4. 勤怠と給与明細を確認する。有給として記録され、残日数にも反映されているか見ます。

「忙しいから一切使えない」「休む理由が旅行だから認めない」という制度ではありません。原則として希望する時季に取得できます。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合には、会社に別の時季への変更が認められることがあります。希望日が決まったら早めに伝え、調整が必要と言われた場合は具体的な理由と代わりの日程を確認しましょう。

出典:東京労働局「有給休暇の申請先」(確認:2026年10月20日)

出典:厚生労働省「取得時季と時季変更権」(確認:2026年10月20日)

私がテンプスタッフで申請していたときの流れ

私がテンプスタッフで働いていた当時は、派遣先に希望日を相談し、職場と話ができていることを添えて営業担当者にメールしていました。その後、職場の予定表とタイムシートに記入し、給与明細で使用日数と残日数を確認していました。

これは当時の私の経験です。現在のテンプスタッフの公式案内では、就業先との事前調整、MYページからの申請、別途タイムシートへの記載が案内されています。以前のメールだけで手続きが終わると考えず、現在の勤務先・所属会社の案内を確認してください。

職場への事前連絡は引き継ぎや勤務調整のために必要ですが、有給そのものが職場の自由な判断だけで認められたり、認められなかったりする権利ではありません。困ったときは雇用主の派遣会社に相談しましょう。

出典:テンプスタッフ「有給休暇の申請方法」(確認:2026年10月20日)

有効期限は原則2年。使う順序と年5日のルール

古い分と新しい分、どちらから使われる?

法定の有給は、付与から2年で時効になります。会社がそれより長い期間を認めることもあります。

前年から繰り越した分と今年の分がある場合、どちらを先に使うかは就業規則などを確認します。定めがない場合、厚生労働省は繰り越し分から請求されるものと推定すべきと説明しています。「派遣では必ず新しい有給から使う」とは限りません。

合計残日数だけでなく、「いつ付いた分が何日残り、いつ失効するか」を確認すると、予定を立てやすくなります。

出典:厚生労働省「年次有給休暇の時効と使用順位」(確認:2026年10月20日)

年5日取得の対象は、新たに10日以上付与される人

法定の有給が新たに10日以上付与される労働者には、会社が付与日から1年以内に5日の有給を確実に取得させる義務があります。派遣社員や、比例付与でも10日以上になる人が対象です。

繰り越しを含む残日数が10日以上あるだけで対象になるわけではありません。また、5日は取得日数の上限ではなく、残りも利用できます。本人が自分で取得した日や計画的付与の日は、この5日に含まれます。

出典:厚生労働省「年次有給休暇取得促進特設サイト」(確認:2026年10月20日)

派遣の有給で迷いやすいこと

急な体調不良で休んだあと、有給に変更できる?

欠勤した日が自動的に有給へ変わるわけではありません。当日申請や事後の振り替えを認めるか、連絡期限をどうするかは、派遣会社の規則・運用を確認する必要があります。急な休みは、まず所定の連絡先に速やかに連絡してください。

たとえばリクルートスタッフィングの公式Q&Aは、遡っての取得はできないと案内し、本人の病気や家族の看病などの緊急時も当日中の連絡を求めています。「大手なら後日申請で必ず使える」とは考えないようにしましょう。

出典:リクルートスタッフィング「有給休暇」Q&A(確認:2026年10月20日)

急な欠勤の事後申請や、取得を断られたとき、退職前の消化・買い取りで迷ったら、有給で困ったときのQ&Aと派遣会社への確認例も参考にしてください。

半日や1時間だけ使える?

原則は1日単位です。半日単位は会社の制度を確認してください。時間単位は、労使協定がある場合に年5日を限度として利用できます。半休と時間単位の有給は別の制度です。テンプスタッフの現行案内では、全日・半日の取得が案内されています。

有給の日の給与は、いつもの1日分と同じ?

支払うのは雇用主の派遣会社です。金額は、通常の賃金・平均賃金・労使協定に基づく標準報酬日額のいずれかを、就業規則などであらかじめ定めて計算します。働く予定だった時間分と常に同額になるとは限りません。

「派遣だから一律60%でよい」という決まりではありません。取得前に、適用される方法と見込額を確認しましょう。

出典:厚生労働省「年休の付与単位・年休付与の効果」(確認:2026年10月20日)

金額の違いや平均賃金の最低保障額については、派遣の有給の金額・3つの計算方法と確認ポイントで、具体例を使って説明しています。

契約終了後や、退職してから残りの有給を使える?

退職後には使えません。年休は、雇用関係があり、働く義務のある日について利用するものです。契約のない空白日や、もともとの休日を有給にすることはできません。

最終出勤日と退職日は別です。最終出勤後でも、雇用契約が続いていて所定労働日であれば、有給を取れる場合があります。残日数があるからといって契約期間が自動で延びたり、残りが必ず買い取られたりするわけではありません。

退職前の取得日を、会社が退職日より後へ変更することはできません。残日数と残りの所定労働日を早めに確認し、退職前の取得を具体的に申し出ましょう。

出典:大阪労働局「退職直前の年休」Q5(確認:2026年10月20日)

出典:厚生労働省「年休権の消滅」(確認:2026年10月20日)

有給を使う前・契約を切り替える前の確認リスト

  • 初回付与日と、次の付与日を把握している。
  • 自分の所定時間・日数に応じた付与区分を確認した。
  • 残日数を付与日別に確認し、失効する日が分かる。
  • 派遣会社への申請方法と、派遣先への連絡方法が分かる。
  • 次の仕事まで空く場合、雇用の継続と有給の扱いを確認した。
  • 退職する場合は、終了前に取れる日を相談した。

派遣の有給で大切なのは、勤務先の名前だけで判断せず、雇用主である派遣会社との契約と、有給の記録を確認することです。家庭の予定や休養に使えるよう、付与された時点から少しずつ予定を立ててみてください。

派遣会社に確認しても説明が分からない場合や、継続雇用なのに有給が消えたと言われた場合は、契約書・更新履歴・勤怠記録をそろえ、労働基準監督署などの公的窓口に相談できます。

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