「扶養内の派遣なら年収はいくらまで?」「週3日なら、扶養を外れずに働ける?」と迷っていませんか。
派遣で扶養内を希望するときは、家族の健康保険の扶養、自分の勤務先での社会保険加入、税金、家族手当を分けて確認する必要があります。「この年収以下なら全部大丈夫」という共通の金額はありません。
私も次男の育休明けに、扶養内の派遣パートを検討したことがあります。家計も気になりますが、子どもの預け先や働ける時間と合うかも大切でした。この記事では、派遣で働いた経験をもとに、制度と求人の条件をどう照らし合わせるかを整理します。
制度の確認日:2026年10月20日。主に配偶者の扶養に入って働く方を想定しています。税金の説明では、2026年12月1日施行・2026年分から適用される改正を明記しています。
扶養内の仕事を決める順番
- 派遣元で自分の社会保険加入が必要か確認する
- 家族の健康保険に、収入見込みと扶養認定の方法を確認する
- 税金と家族手当を含め、家庭に残るお金と働ける時間を比較する
「扶養内」は3つに分けるとわかりやすい
| 確認するもの | 何が変わる?・確認先 |
|---|---|
| 健康保険の扶養 | 家族の健康保険で被扶養者になれるか。家族の勤務先と加入する健康保険へ確認 |
| 税金 | 自分の所得税・住民税、配偶者の配偶者控除等。税務署・自治体・給与担当へ確認 |
| 会社の家族手当 | 配偶者の勤務先の手当が継続するか。就業規則・給与規程と勤務先へ確認 |
この3つとは別に、自分が派遣元の健康保険・厚生年金に加入する条件を満たすかも先に確認します。勤務先での加入が必要なら、健康保険の扶養を希望しても、原則として本人の加入が優先されます。
なお、家族が国民健康保険に入っている場合などは、会社員の健康保険と同じ「被扶養者だから本人分の保険料がかからない」という考え方ではありません。加入している制度そのものも確認してください。
出典:日本年金機構:被扶養者の認定・異動手続き / 厚生労働省:企業の配偶者手当
派遣で扶養内に収めたいときの条件
まず、派遣元で社会保険の加入対象になるか確認する
2026年10月1日に、短時間労働者の「月額8.8万円以上」という賃金要件は撤廃されました。現在は、週の所定労働時間20時間以上、2か月を超える雇用見込み、企業規模、学生ではないことなどで判定します。通常の労働者の労働時間・日数の4分の3以上働く場合は、別の基準で加入対象となります。
派遣では雇用契約を結ぶ派遣元に確認します。「年収106万円未満にすれば加入しなくてよい」「週20時間未満なら必ず扶養内」という判断はできません。週20時間未満でも、収入見込みによって家族の健康保険の扶養から外れる場合があります。
加入条件の詳しい分岐、いつから加入するか、保険料の計算例は、派遣の社会保険の加入条件・保険料の記事で確認できます。ここからは、扶養内の求人選びに必要な収入の見方を説明します。
出典:日本年金機構:短時間労働者の賃金要件撤廃 / 厚生労働省:社会保険適用拡大Q&A
家族の健康保険の扶養は「これからの収入見込み」で確認する
一般に、60歳未満の配偶者が健康保険の被扶養者になる収入基準は、年間収入130万円未満です。130万円ちょうどは「未満」に含まれません。60歳以上や一定の障害がある方などは、基準が異なります。なお、19歳以上23歳未満の方の「150万円未満」という基準は、配偶者には適用されません。
収入だけでなく、家族によって生計を維持されていることや原則国内居住などの条件もあります。同居なら原則として被保険者の収入の半分未満、別居なら仕送り額未満などを確認します。
税金のように1月〜12月の合計だけを見るのではなく、扶養認定時点からの収入見込みが基本です。年の途中から仕事を始める場合も、「今年の受取総額が130万円未満だから大丈夫」とは限りません。
給与のほか、諸手当や賞与、ほかの勤務先からの収入も確認しましょう。健康保険の扶養では、失業給付や年金、傷病手当金・出産手当金なども収入に含まれます。税金で非課税になるお金と、扶養判定で数えるお金は一致しません。
出典:日本年金機構:被扶養者の認定・異動手続き / 協会けんぽ:退職後の健康保険FAQ
2026年4月からの「労働契約で判定する扱い」にも条件がある
2026年4月から、給与収入のみであるなどの条件を満たせば、労働契約に定めた賃金から見込む年間収入で扶養を判定する取扱いがあります。
ただし、契約期間が1年未満、労働時間が不明確など、契約内容から年間収入を判定できない場合は、この方法での認定はできません。初回契約が数か月の派遣だからといって、契約書の金額だけで扶養を続けられるとは決めつけないようにしましょう。
労働条件通知書等と、給与収入だけである旨の申立書などが必要です。契約更新・条件変更時の再提出も含め、家族の加入する健康保険に相談してください。この方法が使えないことと、扶養に入れないことは同じ意味ではありません。通常の収入見込みによる判定方法を確認します。
出典:協会けんぽ:被扶養者認定の特例 / 協会けんぽ:退職後の健康保険FAQ
103万円・136万円・178万円は何の基準?税金と扶養の違い
「扶養内なら103万円」という昔の説明だけで、今の働き方を決めるのは避けましょう。本人の税金がかかるか、配偶者が控除を受けられるか、健康保険の扶養に入れるかは、それぞれ別の話です。
以下の所得税の金額は、2026年12月1日施行・2026年分から適用される改正後の内容です。2026年11月までの毎月の源泉徴収は従来の方法のままで、年末調整等で精算します。
配偶者控除の対象となる給与収入は136万円以下
2026年分は、給与収入だけの場合、配偶者の給与収入136万円以下が配偶者控除の所得要件に対応します。控除を受ける側の合計所得が1,000万円以下で、生計を一にするなど、ほかの条件も必要です。
136万円を超えたら控除がすべてなくなるわけではありません。要件を満たせば配偶者特別控除があり、給与収入のみなら169万円以下まで、控除を受ける側の合計所得900万円以下の場合には最高38万円の控除が適用されます。収入や所得によって控除額は変わります。
ここでいう38万円は、税金が38万円戻るという意味ではありません。税額を計算する前の所得から差し引く金額です。また、これらは健康保険の扶養の上限を引き上げる制度ではありません。
出典:国税庁:配偶者控除 / 国税庁:配偶者特別控除 / 国税庁:2026年度税制改正Q&A
自分の所得税は「給与178万円以下・ほかに所得なし」が目安
改正後は、給与収入178万円以下で、ほかに所得がなければ、本人の所得税等はかかりません。ただし、この金額まで健康保険の扶養で働けるという意味ではなく、社会保険料や住民税は別に確認します。
住民税は前年の所得に対して課税されます。給与所得控除の引上げは2027年度の住民税からです。所得割と均等割の非課税条件も同じではなく、家族構成や自治体によって扱いが異なるため、「所得税がゼロなら住民税もゼロ」とは考えないようにしましょう。
出典:国税庁:家族と税 / 横浜市:2026年度地方税制改正の概要
扶養内は週何日・何時間?求人を比べる計算例
「週3日」「1日5時間」という表示だけでは、扶養内に収まるかは決まりません。勤務時間に加えて、時給・手当・賞与を合わせて見ることが大切です。
例えば、休憩を除く実働6時間で週3日なら、週の労働時間は18時間です。同じ18時間でも、時給が違うと次のようになります。
| 仮の勤務条件 | 年間の給与・通勤手当の概算 |
|---|---|
| 時給1,300円 × 週18時間 | 給与121万6,800円 + 通勤手当6万円 = 127万6,800円 |
| 時給1,500円 × 週18時間 | 給与140万4,000円 + 通勤手当6万円 = 146万4,000円 |
いずれも52週働くと仮定し、通勤手当は月5,000円、賞与・残業代・ほかの収入はない例です。実際の年収は勤務暦、有給休暇、契約更新、手当などで変わり、扶養認定を保証する計算ではありません。
時給1,300円の例でも、130万円までは2万3,200円しか余裕がありません。賞与や勤務時間の増加があれば、見込みが変わります。時給1,500円の例は週20時間未満でも130万円を超えるため、収入面からの確認が必要です。
時給が高ければ、同じ収入を得るための勤務時間を短くできる可能性があります。その一方で、派遣が直接雇用のパートより必ず高時給とは限りません。求人ごとに条件を比較しましょう。
扶養内と扶養外、どちらが得?家計で比較する項目
扶養を外れると本人の社会保険料負担などが発生し、収入の増え方によっては、手元に残るお金が一時的に少なくなる場合があります。ただし、誰にとっても「129万円台が一番得」とは言えません。
比較するなら、次のように家庭全体の変化を並べてみてください。
家計への影響を見る式
自分の手取りの増加 − 配偶者の税負担の増加 − 家族手当の減少 − 仕事に伴う追加費用
これは比較の枠組みです。保険料・税金・費用は、同じ年収でも家庭や地域によって変わります。
- 保険料:派遣元の社会保険に入るのか、国民健康保険・国民年金になるのか
- 家族手当:収入要件、停止時期、返還の扱い。税制が変わっても会社規程が自動的に変わるとは限らない
- 追加費用:保育・学童、送迎、通勤、外食など。補助や給付がある場合はその条件も確認
- 時間と保障:家庭で使える時間、将来の年金、休業時の給付、今後増やせる勤務時間
いまは短い時間で家庭との両立を優先する選択も、収入や保障を増やすために扶養を外れて働く選択もあります。扶養を外れる場合の保険料の具体例は、先ほどの社会保険の記事で確認できます。
派遣と直接雇用のパートも比較したい方は、パートと派遣の違い・働きやすさの比較も参考にしてください。
妊娠・出産に備える場合は、扶養の条件に加えて、休業を取れるか、給付を受けられるかも確認します。詳しくは、派遣の産休・育休の条件・給付と契約更新の確認ポイントをご覧ください。
派遣元と家族の勤務先へ、契約前に確認すること
派遣元には「扶養内」の中身を具体的に伝える
「扶養内でお願いします」だけでなく、家族の健康保険で認められる収入の範囲や、家族手当の条件も確認したうえで伝えましょう。
- 実働時間と休憩、週・月の勤務日数、繁忙期の残業見込み
- 時給、通勤手当、賞与等を含む収入見込み
- 本人の社会保険加入の判定と、条件が変わったときの手続き
- シフト調整を相談する時期、誰に連絡するか
- 契約更新や時給改定で、収入見込みが変わった場合の対応
派遣元が相談の窓口になることはありますが、勤務時間を必ず希望どおりに調整してもらえるわけではありません。就業先の体制と契約条件も関係するので、応募前・契約前にすり合わせておきましょう。
家族の勤務先・健康保険には判定方法と必要書類を聞く
労働条件通知書などを用意し、「この契約・この収入見込みで扶養を継続できますか」「通勤手当やほかの収入をどう扱いますか」「変更時の届出はいつ必要ですか」と確認します。年末の結果だけでなく、契約条件が変わった時点で相談するのが大切です。
扶養内の派遣でよくある疑問
繁忙期だけ130万円を超えそうな場合は?
人手不足による労働時間延長などで一時的に増収した場合、事業主の証明により扶養を継続できる特例があります。原則として連続2回までの取扱いですが、恒常的な時給・基本給の増加などは対象になりません。自動的な免除ではないため、証明書の準備と健康保険側の確認が必要です。
この特例は、自分の勤務先で社会保険の加入条件を満たしているのに、加入しなくてよいという仕組みではありません。
出典:協会けんぽ:被扶養者認定の特例 / 厚生労働省:年収の壁・支援強化パッケージ
配偶者が自営業の場合も、同じ扶養の考え方ですか?
配偶者が国民健康保険・国民年金第1号に加入している場合などは、会社員の配偶者に扶養されるケースとは異なります。国民年金の第3号は、厚生年金に加入する配偶者に扶養される20歳以上60歳未満の方などが対象です。税金の配偶者控除等は別に要件を確認します。
扶養内なら、1日だけの単発派遣でも働けますか?
扶養の条件とは別に、派遣元との雇用契約が30日以内の「日雇派遣」は原則禁止です。例外となる業務や、世帯収入500万円以上で主たる生計者ではない方などの例外があります。勤務する日数だけでなく、雇用契約期間と例外の該当有無を派遣元に確認してください。
扶養内で働く条件が整理できると、求人票のどこを見ればよいかもわかりやすくなります。家計の希望と働ける時間を先に決め、派遣元と家族の勤務先の両方へ確認してから、無理なく続けられる仕事を選びましょう。



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