派遣で傷病手当金を2回もらった私の経験談 | 損しないための大事な4つのポイントを解説します

派遣のお金と福利厚生
  • 病気で仕事を休んだ時に、派遣で傷病手当金はもらえるのかな・・・
  • 派遣で傷病手当金をもらうための具体的な申請方法を知りたい

この記事では、このような疑問・悩みに答えていきます。

傷病手当金は、働く人が病気や怪我などで仕事を休んだ時にもらえる手当金で、正社員だけの制度ではなく、派遣社員も利用できる制度です。

ですが、実際に派遣社員で傷病手当金を受給した際の情報は少なく、わかりづらいのも事実です。

そこで、今回は、妊娠によるつわりで傷病手当金を2回受給したことがある私が、経験談などを元に派遣社員がスムーズに傷病手当金をもらうためのポイントを解説します。

派遣で傷病手当金をもらうための条件

傷病手当金をもらうためには、4つの条件があります。

  • 条件1:会社の健康保険に加入していること
  • 条件2:療養のための休業であること
  • 条件3:連続して仕事に就けない状況であること
  • 条件4:休業した期間、給与の支払いがないこと


では、条件の内容・注意点などについて、ひとつずつご説明します。

条件1:会社の健康保険に加入していること

傷病手当金受給の一つ目の条件は、会社の健康保険に加入していて、毎月健康保険料を支払っていることです。

そのため、扶養内パートの方・国民健康保険の加入者は対象外です。

かおり(派遣歴10年以上)
かおり(派遣歴10年以上)

大手派遣会社に派遣登録している派遣社員で年収106万円(※)を越えていれば、毎月健康保険料を支払っている(=健康保険に加入している)ため、条件をクリアしています。

※大手派遣会社の子会社(従業員が500名以下)に派遣登録している派遣社員の場合は、「年収130万円」と読み替えてください。

また、支給の条件に、健康保険組合の加入期間はありません。

なので、極端な例で言うと、派遣で働き出して1ヶ月ぐらいでも、健康保険料を払っていれば傷病手当金の支給対象ということです。

ほとんどの派遣会社は「全国健康保険協会(略称:協会けんぽ)」に加入しています。
大手派遣会社でも派遣会社単独での健康保険組合は少ないからです。

※例外:リクルートスタッフィングは、リクルートのグループ会社なので、リクルート健康保険組合に加入します。


条件2:療養のための休業であること

傷病手当金受給の二つ目の条件は、病気や怪我などで「療養のための休業が必要」と医師に診断されることです。

病院に行かずに、自宅で休業していただけでは傷病手当金は支給されません。

なぜなら、傷病手当金の申請では、医師による「この人は病気(怪我)のため治療したり、自宅で安静にする必要があった」というコメントが必ず必要だからです。

かおり(派遣歴10年以上)
かおり(派遣歴10年以上)

実際に、私の場合は妊娠によるつわりがひどかったため

  • 通院して診察・点滴・吐き気止めの処方
  • 自宅での安静

という感じで、傷病手当金が支給されました。

※入院はしていません。


条件3:連続して仕事に就けない状況であること

傷病手当金受給の三つ目の条件は、病気や怪我などにより、連続で4日以上仕事を休んだ状態にあることです。

理由は、傷病手当金では仕事を休んだ初めの3日間を「待機期間」といい、待機期間が終わった4日目からが傷病手当金の対象期間となるからです。

後ほど、具体的な例を出しながらわかりやすく説明しますね。

ひとまず、ここでは「連続して4日以上休んだ場合が条件なんだな」ぐらいの理解でOKです。


条件4:休業した期間、給与の支払いがないこと

傷病手当金受給の四つ目の条件は、仕事を休んでいる間、有給なども含め給与の支払いがないことです。

理由は、傷病手当金の制度の目的が、仕事ができなくて給与の支払いがなく生活が苦しくなるのを避けるため、だからです。

かおり(派遣歴10年以上)
かおり(派遣歴10年以上)

一般的には、はじめに有給を全て消化して、有給がゼロになったら傷病手当金を申請する、という流れになります。

派遣で傷病手当金をもらうための4つのポイント

続いて、派遣で傷病手当金をもらうための大事な4つのポイントをまとめます。

  • ポイント1:できるだけ早く診察を受ける
  • ポイント2:早めに医師へ「後日、傷病手当金を申請予定」と伝える
  • ポイント3:できる限りの治療を受ける
  • ポイント4:傷病手当金の申請書は早めに医師に書いてもらう


以下では、私の経験談も交えながら、ひとつずつご説明します。

ポイント1:できるだけ早く診察を受ける

一つ目のポイントは、無理のない範囲でできるだけ早く医師の診察を受けるということです。

理由は、早く医師の診察を受けた方が給付額も多くなるからです。

実際に、わたしは妊娠でつわりがひどく会社を1ヶ月半休み、傷病手当金を受給しましたが、 初めに診察した日が支給対象期間のスタート日でした。

ポイント2:早めに医師へ「後日、傷病手当金を申請予定」と伝える

二つ目のポイントは、できるだけ早く診察を受けた医師に、「後日、傷病手当金を申請するかもしれません」と伝える、ということです。

これ、めちゃくちゃ大事です。

理由は2つあります。

かおり(派遣歴10年以上)
かおり(派遣歴10年以上)

一つ目の理由は、病状によっては、傷病手当金の申請に前向きではない医師がいるため、その場合、他の病院を受診した方がよいからです。


もし、1ヶ月以上仕事を休んだあとで医師から

「このぐらいの病状では、傷病手当金の申請書はかけない」

と言われたら、かなりショックですよね。1ヶ月分の支給が0円ということになってしまいます。

給付対象期間の開始日は、転院後の医師が始めて受診した日になりますのでお早めに!

かおり(派遣歴10年以上)
かおり(派遣歴10年以上)

続いて、二つ目の理由は、医師の中には、患者から傷病手当金の話を聞いた日が、傷病手当金の支給対象期間のスタート日、と考える人もいるからです。


実際に私は、二人目の妊娠時にこのケースを経験しました(汗)

結果的には、話し合いをして(ごねて)、なんとか初診日から傷病手当金をいただくことができました。

でも、あんな経験は誰にもしてほしくないです。
(具合が悪いのに、お金のことでもめるのはメンタル的にもダメージがあります)

なので、まだ傷病手当金を申請するか決めていなくても、「傷病手当金を申請する可能性がある」と医師に話をしておくことをおすすめします。

ポイント3:できる限りの治療を受ける

三つ目のポイントは、できる限りの治療を受ける、ということです。

理由は、「担当の医師」「健康保険組合」の両方が、「この人には、傷病手当金が必要だ」という判断がある場合にのみ、傷病手当金が支給されるからです。

まず、担当の医師は、そもそもあまり通院や治療をしていない患者の申請書を書きたがりません。

もし、医師に申請書を書いてもらっても、通院や治療が少ないと健康保険組合での審査が通らず手当金が支給されない可能性もあります。

かおり(派遣歴10年以上)
かおり(派遣歴10年以上)

参考までに、私が妊娠によるつわりで通院・治療した内容は、こんな感じです。

  • つわりの治療は約2カ月間
  • 通院4回(2週間に1回ほど)
  • 吐き止めの薬処方は4回
  • 吐き気止めの点滴は2回

2週間に一度のペースで受診して、薬の処方・点滴を受けました。

この程度でも傷病手当金を全額支給できました。

ポイント4:傷病手当金の申請書は早めに医師に書いてもらう

四つ目のポイントは、傷病手当金の申請書は早めに医師に書いてもらうこと、です。

原則、傷病手当金は休み始めてから2年以内であれば、遡って申請できます。

ですが、実際には時間が経ってしまうと、医師によっては申請書を書きたがらない人もいたり、いろいろなリスクがあります。

なので、目安としては約1ヶ月ごとに傷病手当金の申請書を医師に書いてもらい、申請手続きをするのがおすすめです。


傷病手当金は、いくら支給される?

傷病手当金では、実際にどのくらいの金額を受給できるのか、事例を使ってまとめます。

待機期間とは?

支給額を計算する際、「待機期間」について知っておくと良いです。

待機期間とは、仕事を休んだ最初の連続3日間のことで、給付対象期間にカウントされない期間です。

待機期間は、「あなたが会社を休んでいる状態」をさすので、「有給」「欠勤」「土日祝日」の場合も待機期間としてカウントされます。

わかりやすく例を出すと、

金曜:病気で会社を休んだ【待機期間の1日目】
土曜:もともと会社が休み【待機期間の2日目】
日曜:もともと会社が休み【待機期間の3日目】
月曜:病気で会社を休んだ【傷病手当金の開始日

という感じです。

金曜に関しては、有給を使っても待機期間の1日目に変わりないです。

ただし、月曜日に有給を使う場合は、月曜は傷病手当金は支給対象外となります。
(有給と傷病手当金、2重で受け取れないため)

【事例】月収25万円の場合、傷病手当金はいくら支給される?

結論からいうと、傷病手当金は直近1年間の平均給料の約67%をいただくことができます!

なので、月収25万円だと、傷病手当金は約17万円ほどです。

※傷病手当金の支給は最大1年6ヶ月です。

詳しい計算方法は、こちらを参考にしてください。

画像引用:全国健康保険組合「病気やケガで会社を休んだとき

派遣で傷病手当金もらう申請〜支給の流れ

続いて、派遣で傷病手当金をもらうための具体的な流れをまとめます。
工程は、6つあります。

  1. 病院を受診する
    病気・怪我になってからできるだけ早く病院を受診します。その際に、傷病手当金を申請するかもしれない、と医師に伝えます。

  2. 派遣会社に病状を簡単に報告する
    病院を受診したら、はじめに派遣会社に病状などを報告し「どのくらい休むことになるか」についてわかる範囲で伝えます。

  3. 派遣会社の担当者が勤務先(派遣先)に休む旨を説明する
    勤務先への説明は、派遣会社の担当者がします。

  4. 約1ヶ月ごとに派遣会社から傷病手当金の申請書を受け取り、必要事項を記入する
    傷病手当金の申請書は、健康保険組合ごとに少し内容が異なりますが、基本的には「自分で病状・治療内容を書く項目」「医師が病状・治療内容を書く項目」があります。
    なので、まずは「自分で病状・治療内容を書く項目」を全て記入します。

  5. 病院に傷病手当金の申請書をお渡しし、医師に記入してもらう
    病院の受付に傷病手当金の申請書(自分で病状・治療内容を書く項目、を記入済のもの)を提出します。

  6. 医師が記入済みの申請書を受け取り、健康保険組合へ提出する。3週間後に振込される。
    個人病院では即日または数日後、総合病院なら2週間前後ぐらいで、医師が病状等を記入した傷病手当位の申請書を受け取ることができます。


【派遣の傷病手当金】疑問を解決!Q&Aコーナー

ここからは、派遣の傷病手当金に関する疑問・回答をまとめます。

質問1:派遣社員が傷病手当金をもらう間、契約更新はできる?

派遣社員が病気になった場合に「契約更新ができるかどうか」は、ケースバイケースです。

というのも、長期的に休業が必要であれば、仕事復帰の目処が立たず、代わりの派遣社員に勤務してもらう必要があるからです。

参考までに、私のケースでは、契約更新ができました。

私は、妊娠によるつわりで会社を休んでいたため、法律的に「妊娠を理由に派遣の契約解除・契約終了はできない」という状況だったためです。

私はつわりがひどく約1ヶ月間休んでいる間に一度だけ契約更新のタイミングがありましたが、更新が無事にされました。(2回の妊娠で、全く同じ経験をしています。)

ただ、派遣では長期的な休みは周りの負担になりますし、約1ヶ月ぐらいが病気で休める限度かな、と個人的には思います。

質問2:派遣を退職しても、傷病手当金がもらえる?

傷病手当金は、以下の2つの条件がそろえば、退職後も継続して傷病手当金をもらいつづけることができます。

  • 健康保険組合に1年以上加入している
  • 退職前に傷病手当金の受給がスタートしている

です。

ストレスを抱えないためにも、制度をフル活用するのも一つの選択肢です。

注意点は、自分が会社の健康保険組合に加入して1年以上経つかどうか、しっかり確認してから退職日を決めてくださいね。



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