派遣の3年ルールとは?抵触日・例外と3年後の働き方を確認

派遣のメリット、デメリット

「今の派遣先で3年になるけれど、必ず辞めないといけない?」「部署や派遣会社を変えれば、そのまま働ける?」。仕事に慣れ、家庭との両立もしやすくなった頃に、次の働き方を考えるのは不安ですよね。

派遣の3年ルールは、同じ派遣先の事業所で受け入れる期間と、同じ人が同じ組織単位で働く期間を分けて確認します。3年が来れば自動的に正社員になる制度でも、必ず派遣会社を退職する制度でもありません。

私は派遣で約10年働いてきました。この記事では、個人単位・事業所単位の違い、抵触日、例外、派遣会社に確認したい雇用安定措置を整理します。「5年働けば自動的に無期雇用になる」という誤解も、別の制度として確認しましょう。

派遣の3年ルールには、個人単位と事業所単位がある

2つの期間制限の確認先
期間制限何を確認する?
個人単位自分が同じ派遣先の事業所の同じ組織単位で働ける期間。原則3年で、同じ組織単位のまま延長する仕組みはありません。
事業所単位派遣先の事業所が、期間制限の対象となる派遣を受け入れられる期間。原則3年ですが、所定の手続きによる延長が可能です。

組織単位は、いわゆる「課」や「グループ」などです。名称だけでなく、業務のまとまりや、業務配分・労務管理の指揮監督権限等の実態で判断されます。

事業所単位の期間は、あなたの就業初日から始まるとは限りません。すでに他の派遣社員を受け入れている事業所では、自分の就業期間とは別の日付になります。派遣先が意見聴取等の手続きをして事業所の受入期間を延ばしても、自分の個人単位の期間が自動的に延びるわけではありません。

なお、3年は「必ず3年間の仕事を保証する期間」でもありません。実際の雇用契約・派遣就業の期間や更新条件も別に確認してください。

出典:労働者派遣法・第40条の2、第40条の3、東京労働局・派遣社員として働く方のFAQ

抵触日は「期間制限に抵触する最初の日」

抵触日は、そのままでは期間制限を超えて受け入れられなくなる最初の日です。「最後に働ける日」と1日ずれるため、契約書類の日付で確認しましょう。

例えば、例外のない方が2024年4月1日から同じ組織単位で途切れなく派遣就業している場合、個人単位で3年間働く期間は2027年3月31日まで、抵触日は2027年4月1日という考え方です。この例は日付の説明であり、その日までの契約更新を保証するものではありません。

就業条件明示書等で、次の3つを分けて確認します。

  • 現在の雇用契約と派遣就業の終了日・更新条件
  • 自分の個人単位の抵触日
  • 派遣先の事業所単位の抵触日と、延長の見込み

会社が独自に更新上限を設けている場合も、それが法律上の抵触日と同じとは限りません。日付が分からない、説明が食い違うときは、派遣会社に根拠を含めて確認してください。

3年後も働きたい場合は、雇用安定措置を確認する

同じ組織単位で継続して3年間派遣される見込みがあり、派遣終了後も継続して働くことを希望する方などには、派遣会社が雇用安定措置を講じる義務があります。就業見込みが1年以上3年未満の場合などは、努力義務となる取扱いもあります。

「どの場合も、会社が努力すればよいだけ」という説明ではありません。自分が対象になるか、何を希望するか、どの措置をいつ進めるのかを派遣会社に確認しましょう。

主な措置には、次のようなものがあります。

  • 派遣先への直接雇用の依頼
  • 能力・経験等に照らして合理的な条件の新たな派遣先の提供
  • 派遣会社で、派遣労働者以外の労働者として無期雇用する機会の確保・提供
  • その他、雇用の安定を図るための措置

直接雇用を依頼したものの実現しなかった場合、義務の対象となる方については、それだけで終わりではなく、他の措置が必要です。無期雇用派遣になる提案も、その呼び方だけで十分とは限らず、合理的な就業条件の派遣先の提供等を含めて確認します。

一方、雇用安定措置があるからといって、希望した派遣先で必ず正社員として採用されるわけではありません。紹介された仕事が遠すぎる、仕事内容が大きく違うなどの事情があれば、具体的に伝えて相談してください。

措置の義務を逃れる目的で、業務上の必要性等なく派遣期間を3年未満にする運用も問題になり得ます。疑問がある場合は、説明や書類を保存して労働局の派遣担当窓口へ相談できます。

出典:労働者派遣法・第30条、厚生労働省・派遣で働く方のQ&A(雇用安定措置)

3年後の主な働き方と、決める前の確認点

派遣先に直接雇用される

派遣先との間で直接、雇用契約を結ぶ方法です。正社員の場合も、有期契約社員などの場合もあり、直接雇用と正社員は同じ意味ではありません。

給与・賞与・勤務時間・残業・勤務地・契約期間・更新条件を確認し、現在の働き方と比べましょう。契約社員になれば一律5年間働ける、5年で必ず退職という決まりでもありません。

派遣会社と無期の雇用契約を結ぶ

派遣会社が雇用主で、契約期間の定めをなくす働き方です。派遣先で直接雇用されることとは異なります。3年の期間制限の例外になりますが、同じ派遣先の仕事がずっと続くことまでは保証されません。

派遣先が決まらない期間の賃金・休業手当等の扱い、異動できる地域、紹介される仕事や勤務時間を、雇用契約・就業規則と合わせて確認してください。

同じ会社の、別の組織単位で働く

実態として異なる組織単位で働くことが選択肢になる場合があります。ただし、事業所単位の受入期間の確認も必要です。課名を変えただけ、仕事内容や指揮命令等の実態が変わらないなどの場合は、期間制限が引き継がれることがあります。

私も同じメーカーの別部署で働いた経験がありますが、当時の部署変更の経験だけを根拠に、誰でも3年を超えて働けるとはいえません。派遣会社に、組織単位と期間制限をどう確認したのか聞いてください。

別の派遣先・派遣会社の仕事を検討する

新しい仕事が決まるか、希望する時間や地域で紹介されるかは、求人状況等で異なります。「3年間働いた実績があれば、次はすぐ決まる」とは断定できません。

派遣会社だけを変えて同じ派遣先の同じ組織単位で働き続けても、個人単位の期間制限が新たに数え直しになるわけではありません。前の派遣会社で働いた期間も含めて確認してください。

派遣会社を変える場合は雇用主も変わるため、有給休暇や保険の手続きも確認が必要です。有給の継続の考え方は派遣の有給休暇の基本、契約終了時の保険は派遣の社会保険の条件で確認してください。

これらは本人の希望だけで確定する選択肢ではありません。働きたい条件を伝え、会社からの提案と実際の労働条件を確認して決めましょう。

組織変更の判断の参考:厚生労働省・派遣法Q&A第3集

3年の期間制限の例外に当たることもある

派遣会社に無期雇用されている方や60歳以上の方、一定の要件を満たす有期プロジェクト業務・日数限定業務、産休・育休・介護休業等の代替業務などには、期間制限の例外があります。

ただし、「期限付きの仕事」「週に少ししか働かない」という説明だけで、例外と判断することはできません。自分の契約がどの例外に該当するのか、派遣会社に確認しましょう。例外であっても、契約の終了日や更新条件までなくなるわけではありません。

休業中の社員の代替として働く場合は、その社員が復帰するときの終了条件等も確認します。これは、派遣社員本人が産休・育休を取れるかという話とは別です。本人の休業の条件は派遣の産休・育休の記事をご覧ください。

出典:労働者派遣法・第40条の2、東京労働局・派遣期間のFAQ

5年ルールは「同じ派遣会社との雇用契約」を確認する

労働契約法の無期転換ルールは、同じ使用者との有期労働契約が更新され、通算5年を超える場合に、本人の申込みで無期労働契約に転換できる仕組みです。派遣の受入期間を制限する3年ルールとは別です。

派遣の場合、雇用主は派遣会社です。派遣先が変わっても、同じ派遣会社との雇用契約が続いていれば、その契約期間を確認します。登録だけで雇用契約がない期間は、通常、通算契約期間には入りません。

5年ちょうど経てば自動的に無期雇用になるわけではなく、通算5年を超える契約の期間中に申込みが必要です。原則として、申込時の有期契約が終わる翌日から無期契約になります。無期転換が、正社員登用や昇給を必ず伴うわけでもありません。

1年契約を途切れなく更新する例なら、5回目の更新後の6年目の契約期間中に申込権が発生する考え方です。契約期間や空白期間、特例等で扱いが変わるため、書類をもとに会社に確認してください。

派遣の個人単位の3年の数え方と、無期転換の5年の数え方では、空白期間のルールも異なります。「何か月休めば両方リセット」とまとめて判断せず、就業歴と雇用契約歴を別に整理しましょう。

出典:厚生労働省・無期転換ルール、無期転換ポータル・働く方のQ&A

派遣会社に相談するときの確認リスト

  • 個人単位・事業所単位それぞれの抵触日
  • 現在の雇用契約の終了日と、更新の扱い
  • 継続して働きたい意思が会社に伝わっているか
  • 雇用安定措置の対象か、どの措置をいつ進めるか
  • 直接雇用・別部署・新しい派遣先等の条件と、回答予定日
  • 雇用が途切れる場合の給与・有給・保険の手続き
  • 無期転換申込権の有無と、申込みの方法・期限

例えば、次のように相談できます。

今の仕事の個人単位と事業所単位の抵触日、雇用契約の終了日を確認したいです。派遣終了後も働くことを希望しています。私が対象となる雇用安定措置と、○時まで・通勤○分以内という条件で検討できる働き方、次の回答予定日を教えてください。

家庭との両立で譲れない条件がある場合は、仕事が終わる直前まで待たずに共有しておくと、選択肢を比べる時間を確保できます。説明に疑問が残るときは、就業条件明示書、雇用契約書、更新の記録、メール等を用意し、都道府県労働局の派遣担当窓口などに相談しましょう。

3年という数字だけで退職や正社員登用を決めつけず、期間制限と雇用契約、次の仕事の条件を分けて確認することが大切です。

制度確認日:2026年10月21日。個別の期間計算、契約更新、無期転換等は、派遣会社・労働局等で確認してください。

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