派遣の有給の金額はいくら?3つの計算方法と60%の誤解

派遣の有給の金額:3つの計算方法と確認ポイント 派遣のお金と福利厚生

「有給を1日取ったのに、いつもの1日分より少ない」「派遣の有給は60%しか支払われないの?」と、給与明細を見て戸惑うことはありませんか。

派遣の有給の金額は、就業規則などで定めた計算方法によって変わります。「派遣だから一律60%」という決まりはありません。金額が少ないというだけで違法とも適法とも断定せず、適用される方法と計算の内訳を確かめましょう。

この記事では、時給制で働く人に向けて、通常の賃金・平均賃金・標準報酬月額を使う方法を、例で整理します。数値は説明用の仮定で、筆者の給与や特定の派遣会社の支給額ではありません。

金額を見る前に確認したい3つ

  • 自分に適用される有給賃金の計算方法
  • 計算に使った賃金・日数・所定労働時間
  • 有給の支給額と、控除後の手取りを混同していないか

派遣の有給の金額を計算する3つの方法

法律では、次の方法が定められています。会社が取得のたびに「今日はこの方法が安いから」と選び直すものではなく、あらかじめ就業規則などで定めた方法で支払います。

計算方法確認する内容
通常の賃金その日に所定労働時間を働いた場合の賃金。時給制なら、時給とその日の所定時間が基本。
平均賃金原則、直前3か月の賃金総額を暦日数で割る。時給制・日給制などは最低保障額との比較も必要。
標準報酬月額の30分の1相当額健康保険の標準報酬月額を使う。採用するには労使協定が必要。

派遣会社の規模や「正社員・派遣」という呼び方だけでは判断できません。労働条件通知書や就業規則を見て、分からないときは給与担当に「私の有給賃金は、どの方法で計算されますか」と聞いてください。

出典:厚生労働省「年休取得日の賃金」(確認:2026年10月20日)

1.通常の賃金:時給×有給取得日の所定労働時間

時給制で「通常の賃金」を使う場合は、時給に、その日に定められた所定労働時間を掛けるのが基本です。

例:時給1,500円・その日の所定労働時間8時間

1,500円×8時間=12,000円

時給以外の手当などがない単純な例です。

同じ時給でも、取得日の所定労働時間が5時間なら、1,500円×5時間=7,500円です。シフトで時間が変わる人は、「いつもの平均的な勤務時間」ではなく、その日の所定時間を確認しましょう。

「全額」という言葉を、残業代やすべての手当が普段と同じ額になるという意味で受け取らないことも大切です。複数の賃金項目がある場合は、それぞれの計算を確認してください。

出典:厚生労働省「シフト制労働者の年次有給休暇の賃金計算例」(確認:2026年10月20日)

2.平均賃金:暦日数で割り、最低保障額とも比較する

平均賃金の原則は、算定対象の賃金総額を、その期間の暦日数で割る方法です。暦日数には土日などの休日も入るため、働いた日だけで割る計算とは金額が変わります。

A:原則の計算
算定期間の賃金総額÷算定期間の暦日数

B:時給制・日給制などの最低保障額
算定期間の賃金総額÷算定期間の労働日数×60%

賃金の全額が時間給などで定められている単純な場合は、AとBを比べ、高い方が平均賃金になります。

月額で固定支給される手当などが混在する場合、Bをこの式だけで計算できないことがあります。月単位で定めた部分と、日・時間単位で定めた部分を分けて扱うため、実際の賃金構成を給与担当に確認してください。

出典:神奈川労働局「平均賃金について」(確認:2026年10月20日)

計算に使う「直前3か月」は、給与の締め日から確認する

賃金締切日がある場合は、原則として取得日の直前の締切日からさかのぼる3か月を使います。締切日がない場合は、取得日を含めず、その前日からさかのぼります。給与が振り込まれた日とは区別してください。

たとえば、月末締めで8月10日に有給を取得するなら、原則の対象期間は5月1日~7月31日の92日間です。毎月20日締めなどの場合は、同じ月の取得でも対象期間が変わります。

例1:暦日数で割った額の方が高い場合

以下では、5月1日~7月31日の92日間に、時給1,500円・1日8時間で60日勤務したと仮定します。手当・賞与・過去の有給取得・除外対象の休業などはなく、賃金はすべて時間給で支給された例です。

  • 賃金総額:1,500円×8時間×60日=720,000円
  • A:720,000円÷92日=7,826.0869…円
  • B:720,000円÷60日×60%=7,200円

高いのはAです。平均賃金は7,826円08銭になります(銭未満切り捨て)。ここからさらに60%を掛ける計算ではありません。給与として実際に支払う際の端数処理は、対象日数とあわせて確認してください。

例2:勤務日数が少なく、最低保障額の方が高い場合

同じ92日間に、時給1,500円・1日8時間で30日勤務したと仮定します。そのほかの前提は例1と同じです。

  • 賃金総額:1,500円×8時間×30日=360,000円
  • A:360,000円÷92日=3,913.0434…円
  • B:360,000円÷30日×60%=7,200円

この例ではBの方が高いため、平均賃金は7,200円です。Aの約3,913円を、そのまま支払えばよいわけではありません。

この2つの例は、計算の仕組みを説明するための仮定です。自分の明細に当てはめるときは、時給以外の支給項目や休業の有無も確認してください。

出典:神奈川労働局「平均賃金について」(確認:2026年10月20日)

残業代・通勤手当・産休育休がある場合の注意点

平均賃金では、原則として残業手当や通勤手当なども含む、税金・社会保険料を引く前の賃金を使います。一方、臨時に支払われた賃金や、3か月を超える期間ごとに支払われる賞与などは除かれます。「基本給だけ」「銀行に入った手取りだけ」で計算しないようにしましょう。

算定期間中に産前産後休業・育児休業・介護休業・会社都合の休業などがある場合は、その期間の日数と賃金を除くなど、計算に調整が必要です。入社から3か月未満の場合も、機械的に90日などで割るのではなく、対象期間を確認してください。

出典:神奈川労働局「平均賃金について」(確認:2026年10月20日)

「有給は60%」と「休業手当は平均賃金の60%以上」は別の話

平均賃金で有給を計算する場合の60%は、時給制などの最低保障額を求めるための割合です。会社が金額を自由に60%まで下げてよい、という意味ではありません。

一方、会社の責任による休業などで問題になる「休業手当」は、労働基準法第26条の別の制度です。休業手当の原則である「平均賃金の60%以上」を、有給休暇の賃金にそのまま当てはめることはできません。

明細の項目が「有給手当」なのか「休業手当」なのかも確認してください。通常の賃金で支払う規定があるのに、理由なく時給×所定時間の60%だけを支払う扱いでよい、とは言えません。

出典:神奈川労働局「平均賃金について」(確認:2026年10月20日)

3.標準報酬月額を使う方法:労使協定が必要

労使協定でこの方法を採用している場合、健康保険法に規定する標準報酬月額の30分の1相当額で計算します。標準報酬月額は、保険料などの計算に使う等級の金額で、手取りや、その月に実際に振り込まれた給与とは異なります。

例:適用される標準報酬月額が260,000円の場合

260,000円÷30=8,666.666…円

この方法の端数処理を適用すると、8,670円になります。

この計算では、5円未満の端数を切り捨て、5円以上10円未満の端数を10円に切り上げます。単純な1円単位の四捨五入で8,667円にする例とは異なります。

標準報酬月額は「都道府県ごとに有給用の等級が決まる」という制度ではありません。自分に適用される標準報酬月額と労使協定の内容を、派遣会社に確認しましょう。

出典:厚生労働省「年休取得日の賃金」(確認:2026年10月20日)

私がテンプスタッフで働いていたときの有給の金額

私はテンプスタッフで6年以上働いた経験があり、当時の私の有給は、通常どおり働いた日とほぼ同額の賃金が支払われていました。有給を取ったために日額が減ったと感じた経験はありませんでした。

これは当時の私の経験です。「大手は必ず全額、中小の派遣会社は少ない」と一般化することはできません。現在の会社・契約で使う計算方法は、規模ではなく規定と実際の計算で確認してください。

有給の金額が少ないと感じたら、明細の5項目を確認

  1. 勤怠の区分:申請した日が、有給・半休・欠勤のどれで処理されているか。
  2. 適用する方法:通常の賃金、平均賃金、標準報酬月額を使う方法のどれか。
  3. 計算の材料:対象期間、賃金総額、暦日数・労働日数、所定時間が正しいか。
  4. 比較と調整:平均賃金の最低保障との比較、固定手当の扱い、除外期間、端数処理。
  5. 支給と控除:有給賃金そのものが少ないのか、社会保険料・税金などの控除で手取りが減っているのか。

明細に有給の金額が独立して表示されず、ほかの賃金とまとめられている場合もあります。表示項目だけで不足と決めず、対象日と計算の内訳を確認してください。

派遣会社への確認例

〇月〇日に取得した有給の賃金について確認したいです。適用される就業規則の計算方法と、この日の計算内訳を教えてください。平均賃金であれば、対象期間・賃金総額・暦日数・労働日数と最低保障額との比較も確認させてください。

説明が得られない場合や、就業規則と実際の支払いが違う場合は、雇用契約書、就業規則の該当箇所、給与明細、勤怠記録をそろえて、労働基準監督署などの相談窓口へ相談できます。

有給の金額は、「普段の何割だったか」だけで判断しないことが大切です。計算方法と材料が分かれば、金額の違いの理由や、確認すべき食い違いを整理できます。

制度・計算方法の確認日:2026年10月20日。計算例は説明用の仮定です。体験談は筆者が利用した当時の経験です。

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