派遣でも産休・育休は取れる?条件・給付と契約更新の確認ポイント

派遣のお金と福利厚生

「派遣でも産休・育休は取れる?」「契約が数か月ごとに更新されるけれど、給付は受けられる?」と不安に感じていませんか。

派遣社員も、条件を満たせば産休・育休を取得できます。ただし、休業を取る条件と、お金を受け取る条件は別です。派遣先との契約だけでなく、雇用主である派遣元との契約や、健康保険・雇用保険の状況を確認することが大切です。

私は派遣で働きながら2人出産し、産休・育休を2回取得しました。第1子は1歳1か月まで、第2子は2歳まで休業した経験があります。休業中の給付に助けられましたが、私が利用した当時と現在では制度が変わっています。

この記事では、当時の経験と2026年10月時点の制度を分けて、妊娠がわかったときから復帰前までに確認したいことをまとめます。

最初に分けて確認する3つ

  • 休業:産休・育休を取れるか、いつからいつまでか
  • 給付:出産手当金・育児休業給付などを受け取れるか
  • 契約:派遣元との雇用がどう続くか、更新や復帰の相談先はどこか

制度の確認日:2026年10月20日。一般的な制度を説明しています。具体的な対象期間・給付額・契約の取扱いは、派遣元、加入する健康保険、ハローワークなどで確認してください。

派遣社員の産休・育休はいつからいつまで?

休業基本となる期間
産前休業出産予定日の6週間前から、本人が請求して取得。多胎妊娠は14週間前から
産後休業出産翌日から8週間。原則として就業できない期間
育児休業原則として子が1歳になるまで。出産した本人は通常、産後休業に続いて取得

産後6週間を経過した後は、本人が請求し、医師が支障ないと認めた業務に限り就業できる例外があります。実際の出産が予定日からずれた場合は日程も変わるので、予定日と出産日の両方を派遣元へ伝えましょう。

育児休業は男女ともに利用でき、通常の育休は原則2回に分けて取得できます。保育所に入れないなど一定の事情があれば、1歳6か月、さらに2歳まで延長できる場合があります。夫婦の取得状況による「パパ・ママ育休プラス」もありますが、希望すれば誰でも2歳まで休める制度ではありません。

出典:厚生労働省:産前・産後休業を取るときは / 厚生労働省:育児休業

産休・育休を取る条件|「1年以上・週3日以上」とは限らない

産休は勤続年数や健康保険の加入とは分けて考える

産前産後休業は、正社員だけの制度ではありません。雇用されて働く方であれば、派遣やパートでも、勤続年数や健康保険への加入の有無で一律に対象外にはなりません。ただし、雇用契約が終了する場合の扱いは別に確認が必要です。

健康保険に入っていないから産休も取れない、出産手当金が出ないから休めない、ということではありません。

有期契約の育休は、契約更新の見込みを確認する

育休は原則として1歳未満の子を養育する労働者が対象です(日々雇用される方を除きます)。契約期間が決まっている場合は、申出時点で、子が1歳6か月になるまでに、更新後の契約も含めて雇用が終了することが明らかではないことが必要です。2歳までの延長時には、改めて2歳までの契約の見込みを確認します。

初回契約が3か月だから育休は取れない、と期間だけで決めるものではありません。契約の更新上限や、更新しないという説明の有無、これまでの更新状況などが関係します。派遣元に、現在の契約がどう判定されるか確認してください。

労使協定による対象外の条件も確認する

現在は「継続雇用1年以上」が全員共通の法律上の取得条件ではありません。ただし、会社が労使協定を結んでいる場合、次の方などを育休の対象外にできる取扱いがあります。

  • 継続雇用が1年未満の方
  • 申出から1年以内に雇用終了が明らかな方。1歳以降の休業では6か月以内
  • 週の所定労働日数が2日以下の方

週3日働いているだけで必ず取得できるわけでも、週2日だから必ず取得できないわけでもありません。契約と労使協定の両方を確認しましょう。

出典:厚生労働省:育児休業

産休・育休でもらえるお金|休業の条件と別に確認

休業しただけで、派遣元から給与がそのまま支払われるとは限りません。会社の給与規程と、公的な給付を分けて確認します。

制度主な役割・確認先
出産手当金出産のため休んだ期間の生活を支える健康保険の給付。自分が加入する健康保険へ
出産育児一時金出産費用の負担を軽くする給付。加入する健康保険・医療機関へ
育児休業給付金雇用保険の加入期間などの条件を満たす方への育休中の給付。派遣元・ハローワークへ
出生後休業支援給付金出生直後の一定期間の休業について、条件を満たす場合に上乗せ。派遣元・ハローワークへ

出産手当金|健康保険の本人加入が基本

健康保険の被保険者本人が出産のために休み、給与の支払いを受けない場合などに対象となります。家族の健康保険の被扶養者には、被扶養者としての出産手当金はありません。

対象は原則として、出産日以前42日、多胎妊娠は98日から、出産翌日以後56日までの範囲で休んだ期間です。予定日より遅れて出産した場合の扱いもあります。1日当たりの金額は、原則として支給開始日の属する月までの継続12か月の標準報酬月額の平均を30で割り、その3分の2をもとに算定します。加入期間が短い場合は別の計算方法があります。

給与が少し支払われているから必ず対象外、というわけではなく、手当金より給与が少なければ差額が支給される場合があります。

出典:協会けんぽ:出産手当金

出産育児一時金|出産手当金とは別の制度

協会けんぽでは、被保険者や被扶養者が妊娠4か月以後に出産した場合などに支給されます。原則1児につき50万円ですが、産科医療補償制度の対象外となる出産などは48万8,000円です。「働いているかどうか」だけで判断せず、加入先と医療機関に申請・直接支払制度の利用方法を確認しましょう。

出典:協会けんぽ:出産育児一時金

育児休業給付金|雇用保険の加入期間などを確認

雇用保険の被保険者で、原則として育休開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あることなどが必要です。日数で要件を満たせない場合は、就業時間80時間以上の月による確認もあります。病気や前の育休などで賃金が出なかった期間には、判定期間の特例もあります。

有期契約の見込みに加え、休業中の就業日数・時間、賃金の状況も関係します。育休を取得できることと、給付が支給されることは同じではありません。

給付率は原則、休業開始から180日までは67%、181日目以降は50%です。賞与を除く休業前の賃金をもとに計算し、上限や休業中の賃金による調整があります。例えば計算の基礎が月20万円相当で、対象期間に給与が支払われない場合は、30日分で約13万4,000円、181日目以降は約10万円が目安です。実際の支給額・支給日数は申請内容で決まります。

出典:厚生労働省:育児休業等給付Q&A

出生後休業支援給付金|「ずっと手取り10割」ではない

2025年4月に始まった制度で、子の出生直後の一定期間に、原則として両親がともに14日以上育休を取得する場合などに、最大28日分、13%が上乗せされます。ひとり親など、配偶者の休業を要件としない場合もあります。

通常の育休給付等と合わせた給付率は80%です。「手取り10割相当」という説明は、給付の非課税や社会保険料免除などを考慮したもので、上限もあります。全員が育休中ずっと給与全額を受け取れる制度ではありません。

出産した本人と配偶者では対象期間等が異なるため、夫婦それぞれの休業予定で確認してください。2026年8月には申請書類等の取扱いも見直されているので、古い案内だけを使わず、派遣元に最新の様式を確認しましょう。

出典:厚生労働省:出生後休業支援給付の要件確認 / 厚生労働省:2026年8月の申請手続き見直し

派遣元との契約・休業・給付を、順番に準備する

  1. 妊娠がわかったら:体調と仕事内容を確認し、派遣元の担当者・休業担当部署へ相談
  2. 休業前:契約更新の扱い、休業日程、給与と給付、保険料免除、提出期限を確認
  3. 出産後:実際の出産日を報告し、必要書類と申請状況を確認
  4. 復帰・延長の準備:保育所の申込期限と必要書類、復帰日、勤務条件を早めに調整

体調への配慮が必要なら、安定期を待たずに相談する

私は第1子・第2子とも妊娠初期につわりがひどく、出勤できなくなったため、早い段階で派遣元に報告しました。そのとき、体調が落ち着けば仕事に戻りたいこと、産休・育休を希望していることを伝えました。

妊娠の報告時期は一律ではありませんが、つらい症状や通勤・業務への配慮が必要なら、無理をせず医師等と派遣元に相談しましょう。医師等の指導を職場へ伝える「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」もあります。

出典:厚生労働省:母健連絡カード

育休の申出は、原則として開始予定日の1か月前まで

通常の育休は原則1か月前まで、1歳以降の育休は原則2週間前までに、書面等で派遣元へ申し出ます。妊娠を伝えた段階で、社内の手順と必要書類も確認しておくと進めやすくなります。

派遣先での就業が終わることと、派遣元との雇用契約が終わることは分けて確認してください。休業中の更新手続き、連絡先、書類の提出方法を、メール等で後から確認できる形に残しておきましょう。

育児休業給付の初回申請には、休業開始から4か月を経過する日の属する月の末日までという期限があります。必要書類の作成は通常派遣元と進めますが、「いつ申請するか」「提出が済んだか」を確認しておくと安心です。給付は給与と同じ日に毎月振り込まれるとは限らないため、当面の生活費も準備しておきましょう。

出典:厚生労働省:育児休業 / 厚生労働省:育児休業等給付Q&A / 厚生労働省:育児休業等給付の案内

妊娠・休業の申出を理由とする不利益な扱いは相談できる

妊娠・出産や産休・育休の申出等を理由とする解雇、減給などの不利益取扱いは禁止されています。「派遣だから対象外」と説明されたり、妊娠報告後に更新しないと言われたりした場合は、理由と契約書類を確認し、派遣元の相談窓口や都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ相談してください。

契約終了の適法性は事情によって異なります。会社の規模だけで安心・不安を決めず、説明と記録をもとに確認することが大切です。

出典:厚生労働省:不利益取扱いとハラスメント

保育所に入れないとき|育休の延長と給付の延長は別に手続き

保育所に入れないなどの事情がある場合、派遣元への育休延長の申出と、ハローワークへの給付の延長手続きが必要です。派遣元に延長を相談しただけで、給付の延長まで自動的に決まるわけではありません。

2025年4月からは、保育所の利用申込みが速やかな職場復帰のために行われたものと認められることが必要になっています。主な添付書類は次の3つです。

  • 育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
  • 市区町村へ提出した保育所等の利用申込書の写し
  • 入所保留通知書・入所不承諾通知書など、利用できないことを示す通知

原則として、子の1歳の誕生日の前日までに申込みを行い、1歳の誕生日以前の日を入所希望日とするなどの条件があります。自治体の受付締切は、それより早いこともあるので事前に確認してください。1歳6か月からの再延長時にも確認が必要です。

入所を希望しない意思表示や、やむを得ない理由のない内定辞退などは、認定に影響します。申込書は全ページの写しを残し、電子申請の場合も申込内容を保存しましょう。事情がある場合は、申込み前に自治体・派遣元・ハローワークへ相談してください。

出典:厚生労働省:育児休業給付の延長手続き / 厚生労働省:保育所に入れない場合の延長要件

休業中の保険料と、復帰後の働き方はどうする?

健康保険・厚生年金の免除は派遣元に届出を確認する

加入者が産前産後休業・育児休業等を取る場合、派遣元の届出によって本人・事業主の健康保険料と厚生年金保険料が免除される仕組みがあります。産休の免除期間は、原則として開始月から終了日の翌日が属する月の前月までです。

育休では同じ月内に14日以上取得する場合の扱いや、賞与の免除に別の条件もあります。休み始める日だけで「必ず1か月分得」と決めず、実際の日程と届出内容で確認してください。体調や引継ぎも含めて休業開始日を相談しましょう。

休業中だからすべての税金や保険料がなくなるわけではありません。給与以外に必要な支払いも確認しておきましょう。加入の仕組みや契約終了時の保険については、派遣の社会保険の加入条件・手続きの記事にまとめています。

出典:日本年金機構:産休・育休期間の保険料免除 / 日本年金機構:育児休業中の保険料

復帰先や勤務時間は早めにすり合わせる

休業前と同じ派遣先に戻れるかは、派遣元との契約や派遣先の受入れ状況などで異なり、必ず戻れるとは限りません。保育所の送迎、通勤時間、勤務日数、残業の可否を整理して、復帰時期と仕事の紹介について早めに派遣元へ相談しましょう。

復帰後には、短時間勤務制度なども別に確認します。2025年4月に始まった育児時短就業給付金は、2歳未満の子を育てる雇用保険の被保険者が所定労働時間を短縮し、賃金が下がるなどの要件を満たす場合の制度です。支給額は原則として時短勤務中の賃金の10%ですが、調整や上限があります。

単に勤務時間を短くしたすべての人に出るものではありません。派遣でも加入期間や時短前後の条件をもとに確認するので、契約を変える前に派遣元へ相談してください。

出典:厚生労働省:短時間勤務等の措置 / 厚生労働省:育児時短就業給付の申請手続き・2026年8月版

保育所に入れない、復帰先が決まらないなどで復帰が難しくなった場合は、派遣で育休復帰できないときの確認手順・退職と給付金の扱いも参考にしてください。

派遣の産休・育休でよくある疑問

扶養内で働いていても産休・育休は取れますか?

扶養内かどうかだけで休業の可否は決まりません。一方、出産手当金は健康保険の本人加入、育児休業給付は雇用保険など、それぞれの受給条件があります。復帰後の収入や扶養を考える場合は、扶養内で働く条件・家計の確認ポイントも参考にしてください。

退職すれば、出産手当金も育休給付もすぐになくなりますか?

出産手当金は、退職前に継続1年以上の被保険者期間があり、資格喪失前日に受給中または受給できる状態などの条件を満たせば、退職後も継続できる場合があります。退職日の出勤なども関係するため、退職を決める前に加入先へ確認してください。

育児休業給付は職場復帰が前提で、最初から退職を予定している場合は対象になりません。受給資格確認後に事情が変わって退職する場合の扱いは別なので、派遣元・ハローワークへ相談してください。

出典:協会けんぽ:出産手当金 / 厚生労働省:育児休業等給付Q&A

私にとって、産休・育休と休業中の給付は、出産と育児の時期を支えてくれる制度でした。派遣でも遠慮せずに相談しつつ、自分の契約で休業・給付・復帰をどう進めるかを一つずつ確認してみてください。

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