派遣社員も正社員と同じように、社会保険に入れることをご存知ですか?
ただ、社会保険は制度がとても複雑でわかりづらい・・・
そこで、今回は
- 社会保険の種類、メリット
- 派遣社員が社会保険に加入する場合の条件・注意点
- 社会保険料・手取額といったお金に関すること
などを、私の経験談や事例を使ってわかりやすくご紹介します。
社会保険は、派遣で働く前に知っておきたい情報でもあるので、ぜひ最後まで読み進めてみてくださいね。
社会保険の基礎知識!サクッと理解しよう!
この章では、「社会保険って何?加入条件は?」といった疑問についてわかりやすくまとめていきます。
社会保険とは?
社会保険は以下の5つのことを言います。それぞれの制度内容をざっくりまとめました。
社会保険の内容 | 制度の内容 |
健康保険 | 病院でかかった費用の負担してくれる制度 |
厚生年金保険 | サラリーマンや公務員が加入する年金制度 |
介護保険(40歳以上が対象) | 介護を必要とする高齢者を支える制度 |
雇用保険 | 労働者の生活や雇用の安定を促進するための制度 |
労働者災害補償保険(労災) | 業務中に起きた事故への保険 |
ここでは、「社会保険ってこんなにたくさんあるんだ!」ぐらいの理解で十分です。
以降で、具体的なメリットや加入条件をご紹介しますね。
社会保険に加入の具体的なメリットは?
社会保険の概要はざっくりわかっても、「で、結局メリットはなに?」という疑問がわいてきますよね。
そこで、会社で働く人が5つの社会保険に加入することで、実際にどんなメリットがあるのかをまとめました。
社会保険 | 社会保険に加入するメリット |
健康保険 | 出産前後(産休)や病気・怪我(傷病手当金)など、働けない時に手当金がもらえる |
厚生年金保険 | 65歳以降に受取る年金が多くなる |
介護保険(40歳以上が対象) | ー |
雇用保険 | 代表的な例 失業保険、教育訓練給付、育児休業給付(育休)などを利用してお金をもらえる |
労働者災害補償保険(労災) | 業務中の怪我や病気に対してお金が補償される |
この一覧表でわかるように、社会保険全てに共通するメリットは、
「働けなくなった時にお金をもらえる」
ということになります。(厚生年金保険についてはちょっとだけ意味合いが違いますが・・・)
そして、これら5つの社会保険は条件を満たせば派遣社員も加入することができます!
実際に、私はこれまで派遣社員で働く中、子供を出産する前後に仕事を休んだため給料が出なかったのですが、社会保険の「産休」「育休」「傷病手当金」を利用することができ、給料の約5〜7割ほどのお金をいただきました。
ほんと、ありがたかったです(^^)
産休・育休については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
社会保険の加入条件は?
社会保険の5つにはそれぞれ加入条件が複数ありますが、以下では「派遣社員が社会保険に加入する条件」をわかりやすくまとめていきます。
「派遣社員が社会保険に加入する条件」は、以下2つです!
- 2ヶ月以上働くこと
- フルタイムか、それに近い働き方であること
(※派遣会社の正社員の1ヶ月の所定労働日数の3/4以上、また1週間の所定労働時間の3/4以上)
基本的にはこの2つが加入条件となるのですが、平成28年10月の法改正で社会保険の加入対象がひろがり、パートタイムで働く場合でも社会保険の加入対象となるケースが出てきました。
詳しく説明すると・・・
以下の条件を全て満たす場合は、年収106万円以上で社会保険(健康保険と厚生年金)への加入が義務付けられています。
- 1週間の労働時間が20時間以上
- 1ヶ月あたりの賃金が8.8万円以上
- 雇用期間の見込みが1年以上
- 会社の従業員数が501人以上
※学生を除く
※収入に残業手当、通勤手当、賞与は含まない
ただし、これらの中で1つでも条件を満たさない場合は、年収130万円以上になったときに社会保険に加入することになります。
(※年収130万円以上:月収に残業手当、通勤手当、賞与を含む)
「会社の従業員数が501人以上」という条件の「会社」は1つの会社(法人)を指します。
そのため、大手派遣会社の子会社に派遣登録した場合は、この条件に当てはまらないこともあります。
(よって年収106万円ではなく、年収130万円以上で社会保険加入となる、ということ)
社会保険に、いつから入れる?
社会保険の加入開始日は、派遣の契約開始日と同じです。
一般的な派遣(登録型派遣)だと3ヶ月ごとの契約更新なので、例えば、派遣の契約が2月1日スタートであれば、社会保険の加入も2月1日からということになります。
ただ、手続き上、健康保険証が手元に届くまでに約7〜10日ほど日数がかかることが多いため、急ぎで対応して欲しい時には、派遣会社に伝えておくと多少は早く手続きをしてもらえるかと思います。
ちなみに、健康保険証が手元にない期間に病院にかかった場合は、全額自分で支払いをして、健康保険証が届いた後で病院で精算をすることになります。
社会保険に加入するか、加入しないか、選べる?
結論から言うと、社会保険の加入は義務なので加入するかどうかを選べません。
つまり、加入の条件を満たすと「加入しなければいけない」というものなんです。
「年金なんて、将来もらえるかわからないし、保険料も高いから加入しません」
という選択肢はないということです。
社会保険へ加入すると、毎月いくら支払う?手取りは?
社会保険へ加入すると、毎月給与額面の約15%を社会保険料として支払う必要があります。
わかりやすいように、派遣の平均時給1500円で社会保険料や手取りを計算してみますね。
時給1500円・1日8時間・1ヶ月で21日働く場合には
- 額面:25万2,000円(=時給1500円×8時間×21日)
- 社会保険料:36,035円
- 税金:25,458円
となるので、手取りは、25万2000円から36,035円と25,458円を引いて、約19万となります。
この金額だけ見ると、毎月の社会保険料はけっこう高いですよね。
でも、社会保険は「女性の出産に関する手当金」や「失業した際の手当金」など、働けない時に手当金をいただけるというのも事実です。
上でも書きましたが、実際に私はこれまで社会保険の制度「産休・育休」「傷病手当金」「失業保険」などを利用し手当金をいただきました。
なので、個人的な意見にはなりますが、社会保険に加入する年収で働いて、社会保険の制度・メリットを利用するのがおすすめです。
社会保険での注意点
ここからは、派遣社員が社会保険に関して注意すべきことをまとめていきます。
社会保険を完備し、さらに加入者の実績がある派遣会社を選ぶこと
派遣会社を選ぶ際は、あなたが社会保険に加入するかどうかに関わらず、必ず社会保険を完備し加入者の実績もある派遣会社を選んでください。
なぜなら、社会保険の加入条件等は法律で決まっていることだからです。
「条件を満たす人は、社会保険に加入する義務がある」というものなので、社会保険への対応ができていない派遣会社で働くことはブラック企業で働くようなもの。
でも、実際はそんなブラックな派遣会社があるのも現実です。
(派遣会社は全国に約8万社もあり、コンビニより多いんです!)
仮に、あなたが法律違反している派遣会社に派遣登録してしまい、社会保険に加入できなかった場合、全額自己負担である「国民年金・国民健康保険」に加入する必要があります。
例えば、1ヶ月の収入が20万円の場合で、「社会保険」と「国民年金・国民健康保険」を比較しますね。
名称 | 1ヶ月の保険料 |
社会保険(厚生年金、健康保険) | 28,000円 |
国民年金・国民健康保険 | 36,000円 |
同じ月収20万円でも、「社会保険」なら毎月8千円も安くすみますし、社会保険には病気や怪我や妊娠・出産時の手当金・年金の上乗せなど手厚いサービス等がありますが、国民年金・国民健康保険にはありません。
なので、派遣会社へ派遣登録をする前には、必ず社会保険の確認をしてくださいね。
派遣の仕事が変わる時、社会保険はどうなる?
同じ派遣会社で、派遣の仕事が変わる時、次の仕事まで1ヶ月以上あいてしまうと、社会保険を一度退会する必要があります。
さらに、社会保険を退会したあとは、空白の期間がない状態で、国民年金・国民健康保険へ加入しなければいけません。
(ただし、例えば夫の扶養に入れれば、加入の必要はなし)
国民年金・国民健康保険は、上で書いたように全て自己負担で金額も高いです。
しかも、日割り計算はないため、例えば4月29日が派遣の契約終了日の場合、4月30日の1日だけでも4月分として全額保険料の支払いが発生します。
なので、今の派遣の仕事を辞める際は、できるだけ1ヶ月以内で次の仕事に就けるように、派遣会社の担当者にも早めに話をして「次の仕事」を紹介してもらえるように対応してもらいましょう。
実際には、急な退職でなければ、大手派遣会社での求人は豊富にあるので次の仕事が見つかりやすいですよ。
まとめ:派遣社員にとっても社会保険は手厚いサービス!
今回の記事、いかがでしたか?
派遣社員は更新しながら働く場合が多いため、社会保険に加入できるということ自体を知らない方も多くいるかともいます。
ですが、派遣社員でも、加入条件を満たせば正社員と同じように社会保険に加入し、手厚いサービスを受けることができます。
社会保険の制度には「産休」「育休」など、女性が子供を出産する前後で利用できるものが多くあるため、子供を産むまではできるだけ社会保険に加入してフルタイムで働くことができれば、多くのメリットを受けることができます。
そして、派遣なら、出産後は派遣でパートタイムや時短などの働き方を選ぶこともできますよ。
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